あの「秘密の塔」の実態が知りたい

Posted by モロズミ・ダン on 26.2017 時代劇・忍者 0 comments 0 trackback
ずっと気になっているのは
前々回にアップした
かるた(画:南村喬)としても商品化された
「オテナの塔」だ。

おさらいすると
「オテナの塔」は
NHKラジオドラマ新諸国物語シリーズ(1952~1960年)
として1年間ずつ放送された一連の冒険活劇の第4部作目のお話。
アイヌ一族の青年と生き残りの父親(および一族)対
悪代官達の攻防を描く。
アイヌの宝を巡る複数の登場人物達が運命に導かれ
オテナの塔の場所を記した巻物の争奪戦へと
進展、邂逅と対決を繰り広げる・・・
といった内容だ。

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「オテナの塔」かるた NHK放送 日本放送協会承認 小出信宏社
作画:南村喬 原作:北村寿夫

オテナの塔
タイトルにもなっているのに
そのハッキリとした全体像を見たことがなくて
モヤモヤ感を抱いていた。
いったいどんな塔だったのか。

けっしてヒット作品とは言えず情報も多くない。
はたして調べきれるかどうか。

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「オテナの塔」かるた NHK放送 日本放送協会承認 小出信宏社
作画:南村喬 原作:北村寿夫


絵札をすべてチェックしたが・・・
行き詰まったときには現場に戻る
いわゆる
現場百篇が捜査の基本
なので
オテナの塔かるたの絵札を
あらためて全部みてみた。

がやはり
前々回にアップした2枚しかなかった。
ご覧のようにシルエットだけだ。

絵札のルシべ老人と同様
私の夢にも出てきそうだ。


実は
かるたの箱絵の背景にも塔が画かれているのだが
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質感だけは何となく読み取れるが
タイトルが邪魔をして
全体像がいまいち
わからない。

当時は原作の時代小説とNHKラジオ放送が元で
そのため
挿絵などを書き起こすための情報が少なかった
のだろうか。

イライラ感が増幅するなか貴重な情報が

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 おもしろブック9月号付録 昭和30年9月発行
作画:南村喬 原作:北村寿夫

見つけ出しましたよ。
表紙絵にかるたの箱絵よりも
僅かだが
より鮮明な全体像が。

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うれしくて拡大してみた。

断片的にシーンをピックアップしているかるたと違い
ストーリー本ですから
きっと本編には
デデーン
立派なオテナの塔が登場
しているはずだ。
そうであってほしい。

焦らず最初からみてみよう。

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 おもしろブック9月号付録 昭和30年9月発行
作画:南村喬 原作:北村寿夫

登場人物のワイプで
隠れている部分もあるのだが
石垣で組まれている構造などが
わかってきた。

この調子だ。


実は肝心な後半部分が・・・

パラパラと
ページを捲っていくと
最終頁に
「このあとは10月号につづきます」の案内文が・・・
ガーンである。
思わず古典的な漫画表現が出てしまうぐらい
がっかり感が漂う。
主人公がオテナの塔にたどり着くクライマックスは
お話の最後の方だからだ。

この付録本の展開具合は
主人公の小源太が中心というより・・・

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 おもしろブック9月号付録 昭和30年9月発行
作画:南村喬 原作:北村寿夫

けっこう
深雪の露出が目立っている
ちょっと偏った展開だ?


苦難続きの深雪

中盤以降の深雪は
苦難の連続
あまりのピンチっぷりを
ダイジェストで

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 おもしろブック9月号付録 昭和30年9月発行
作画:南村喬 原作:北村寿夫

この虐げられた非情な展開がずっと続き
深雪の苦悶の表情に心が痛む。

ちなみに作画の南村喬先生
後に桐丘裕之のペンネームでSM系雑誌の挿絵も画いている。
責められて悶え苦しむ女性の妖しい表現・画力は
マニアの間で高い評価を得ているようだ。
その才能を
このオテナの塔の時期からすでに
ちょい発揮していた
といったら偏頗な見方か。

話が横道にそれたが
オテナの塔への道は
まだまだ遥か遠くのようだ。

後半部分は付録本化されていないようで
おもしろブック本誌を続けて読まなければ
オテナの塔に辿り着けない。
だが残念ながら
おもしろブック本誌はここにはない。


期待の付録本も残念な結末が
でも
希望のもう1冊がありました。

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 少女クラブ6月号付録 昭和31年6月発行
表紙絵:勝山ひろし 原作:北村寿夫

この付録本は
お話が読み切りで
完結しているのだ。

これは期待できますな。

いきなり
巻末ちょい手前あたりからページを開くと

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 少女クラブ6月号付録 昭和31年6月発行
画:鈴木清 原作:北村寿夫

オテナの塔があるであろう
目ぼしをつけた小源太が
いよいよ能登の岬に船を出している。


次のシーンは
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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 少女クラブ6月号付録 昭和31年6月発行
画:鈴木清 原作:北村寿夫

すでにオテナの塔の中で
宝を手にしていた。

オテナの塔の発見シーンは
そんなに重要ではないのか
「タイトルにもなっているのに」
と声に出して言いたくなるほどだ。

勿論文章では説明あるのだが

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 NHK連続放送劇「オテナの塔」 少女クラブ6月号付録 昭和31年6月発行
文:西山敏夫 原作:北村寿夫

えーっと整理すると
①島と言うよりもひとつの大きな岩に小源太の船が衝突
②その岩によじ登った小源太は足を滑らせて深い穴に滑落
③穴の底には苔むした扉がありその先の下方に階段、それを降りる
④さらに扉があり中に入ると大きな箱有
⑤金、銀、宝石=オテナの宝ゲット

まったく
塔っぽくないのだ。大きな岩だもの。
がっかりである。

もう少し謎で神秘的な造形で
インディジョーンズ的な
カラクリが何重にも仕掛けられてと
勝手に期待し過ぎていたのか。

まあこの本は少女向けだから
深雪の試練に耐える生きざまをメインに構成し
そのほかの設定は極力簡略化したのだろう
とは思うが。

この記事の締め方としては
お話の後半が連載されていた
おもしろブック本誌を出して
「これがオテナの塔の実態だ!」
とやれば
カッコよく締めくくれたのだが
残念ながら持ってない。

資金力があれば探して入手できた
可能性もあったが
無理せず肩肘張らずやっていきたい。

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NHK連続放送劇「オテナの塔」 おもしろブック9月号付録 昭和30年9月発行
作画:南村喬 原作:北村寿夫

先にアップした
おもしろブックの付録本の裏表紙にも
オテナの塔があった。

これをみてたら
オテナの塔は謎のままで
いいような気がしてきた。

この秘密感が漂うシルエットの姿が
本当の姿なのかもしれない。






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南村喬その後の画業

Posted by モロズミ・ダン on 12.2017 巨匠・アーティスト 0 comments 0 trackback
前回は
南村先生の昭和30年代の作品を中心にみてきたが
その後の昭和50年前後の作品に
スポットを当てたい。

南村先生は平成9年に亡くなられているので
後期の画業にあたる。

その間の40年代はどうしたの?
と思われるかもしれないが
約1年半前にアップした南村喬特集の4回目
「実力派の画業アイデンティティー」(←クリック)
をご覧いただきたい。
この40年代はそれまでの時代活劇に留まらず
戦記、怪獣、恐竜、妖怪、SF物と
作品の幅もかなり広げていった時期といえるだろう。

でも個人的にはやはり時代活劇!
これに絞って進めさせて下さい。


笛の音色まで聞こえてきそうだこの迫力!

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新諸国物語「笛吹童子」 カラーシート 朝日ソノラマ発行
原作:北村寿夫  作画:南村喬之 TBS

北村寿夫の新諸国物語シリーズでも
一番人気だった「笛吹童子」
挿絵担当は南村先生だ。

ちなみにこのシリーズは7作あって以下のとおり

白鳥の騎士(昭和27年)
笛吹童子(昭和28年)
紅孔雀(昭和29年)
オテナの塔(昭和30年)
七つの誓い(昭和31年)
天の鶯(昭和34年)
黄金孔雀城(昭和35年)

前回紹介した「オテナの塔」もこのシリーズのひとつだ。

「笛吹童子」は昭和28年のNHKラジオドラマが最初で
テレビドラマとして2回目のシリーズがTBSの放送で
昭和47年であった。
カラーシートはTBSのクレジットがあるので
この時期に発売されたものだと思われる。
南村先生の晩年の作品と言える。

ストーリーは置いといて
作画を連続でみてみましょう。

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新諸国物語「笛吹童子」 カラーシート 朝日ソノラマ発行
原作:北村寿夫  作画:南村喬之 TBS

どーですかこの上手さ!
緻密で迫力のある画風も
さらに熟成していて
極上の作品に仕上がっている。

もし漫画遺産なるものがあったとしたら
是非、強引に認定したいところだ。



ふたたび挿絵で実力発揮

次の作品はさらに進んで昭和50年頃(だと思う)
貴重な原画(コホン!直筆の本物です、数年前ヤフオクで落としました)
で紹介します。

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原作:山岡荘八作画:南村喬之 文:大川久男

「徳川家康」(山岡荘八)をベースに
テレビアニメ化(昭和50年~)されたことを受けて
テレビマガジンに連載された絵物語である。

ちなみにテレビマガジンは
講談社昭和46年創刊のロングセラーで
今でも人気刊行中の月刊誌。

「少年徳川家康」連載当時の表紙は
       テレビマガジン
ロボコンやマジンガーZなどが躍動してて
そんな中
少年徳川家康は地味ではあるが
頑張っていたのだ。

当時は私もすでに高校生だったので
リアルタイムではみておらず
後にこの貴重な作品の存在を知ることになった。

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アップしてみたくなる
このペンタッチ!

連続してピックアップするが

ストーリーの進行順になっているかは
ゴメン分かりません。

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原作:山岡荘八作画:南村喬之 文:大川久男

あらためて
絵物語の挿絵
この場所で画く作品は
南村先生の真骨頂
と言えるのではないだろうか。

南村作品は絵物語(時代活劇)の挿絵として
最高に輝きを増すようだ。

時代活劇絵物語から始まって
中期には
あらゆるジャンルでその能力を発揮するも
やはりここへ帰ってきたんだな
と思う。

活き活きとしたそのタッチは
原画で観ているという分を差し引いても
あり余るほど感じられるのだ。



次回
南村先生シリーズの番外編を予定します。

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